『This is Thiiird Place』 アルバムインタビュー

13人編成のアフロソウルジャズバンド”Thiiird Placeの1stアルバム『This is Thiiird Place』のLPレコードが発売されました。リリースと併せてバンド初となるメンバーインタビューを行いました。
スガナミユウ 2024.06.04
誰でも

インタビューの聞き手は、Thiiird Placeの楽曲”同じ街を見ている”のミュージックビデオの監督でもある仲原達彦さんにお願いしました。

これまでのThiiird Placeの活動を見てきた仲原さんから見た印象も含めて、現在のバンドの空気感や今この時代に人と関わり音楽を演奏することへのひとつの提案が感じられるインタビューになっているかと思いますので、長尺の記事にはなりますが、もしご興味のある方はご一読頂けたら幸いです。

Thiiird Place スガナミユウ

Thiiird Place 13人が並んだ写真。

Thiiird Place 13人が並んだ写真。

(Photo : 仲原達彦)


-あー、あー、録れてるかな?

まず録音の声のチェックで、自己紹介をお願いします。-

ユイマ : ボーカルのユイマです。

スガナミ : ボーカルのスガナミユウです。

まさや : ベースのまさやです。

-今日は3人に話を聞く感じですね、宜しくお願いします。

インタビューを始める前に、僕のThiiird Place (サード・プレイス)の印象を少し話しておくと、ユウさんがやっていたGORO GOLO (ゴロ・ゴロ。スガナミがThiiird Placeの前にやっていたバンド)は、自分より上の世代のかっこいいバンドで、憧れる感じで見ていたんだけど、Thiiird Placeは身近な、共感できるバンドになって。自分も歳を取ったからなのかもしれないけど。Thiiird Placeは自分たちのことを歌ってくれているなという印象が強い。

ユイマ : へー、なるほどね。

-うん、ユウさんとは世代が違うけど、まさやは(自分と)高校の同級生だしさ。-

まさや : そうそう。

スガナミ : それが面白いよね。

-Thiiird Placeは、世代もバラバラ、バックグラウンドもバラバラの人が集まっているから、聴く側も、色んな人たちが自分ごととして受け止めやすいのかもなって。同世代で集まるバンドが多い中で、Thiiird Placeは世代感みたいなのが無くって、そういう距離感でメッセージを伝えられるバンドってすごくいいなぁと思って。アルバムを聴いたときも、これはどんな時代でも伝わるメッセージがあるなぁと思った。

ユイマ : すごい分かってくれてる。

-(自分が感じていた印象だから)インタビュー中に話すことでもないなと思って、先に話しました。-

スガナミ : 自分もタツくんとこうして同じ目線で関われる機会を持てて嬉しい。

-それじゃあインタビューを始めていきます。自分は(普段)インタビュアーじゃないので、音楽の専門的な話を主にというよりは、バンドや人についてもっと知りたいなぁという感じで思ってるので、色々と聞けたらと思ってます。-

スガナミ : うんうん。

インタビュー風景、4人がタブレットを覗き込んでいる写真

インタビュー風景、4人がタブレットを覗き込んでいる写真

-2021年末になるのかな、コロナ禍で、どういったきかっけでThiiird Placeは始まったんですか?-

スガナミ : 私と、はるか (鍵盤)、ただし (per,Vo)がやっていたバンド (GORO GOLO)がそれまであって、そのバンドの活動後期に、今のThiiird Placeのメンバーの、ユイマ、アンディ(Vo、Andy Nagashima)、トミー (Gu、tommgn)、ハラさん (tp、原 慎一)たちを客演で招いてライブをしていて。

そのうちにコロナ禍に突入して、同時にある程度音楽的にやり尽くした感じがメンバー間でしていて、手伝ってくれていた客演の皆んなを含んだ形で新しいバンドとして始める話が持ち上がってThiiird Placeが始まったんだよね。ホーンセクションはハラさんが管の仲間に声をかけてくれて、ロンちゃん(a.sax、ayumi)、ポンさん(b.sax、池田慎平)が来て、パーカッションは2人セクションにしたくて、DJをやっている福ちゃん(per、福田俊介)と、ただしがギターからパーカッションに転向してくれて。

最初のライブは2021年の末で、それまではGORO GOLOのメンバーだった5名が参加していたんだけど、その後年明けにベーシストとドラマーが離れることになって、まさやと、コウタロウくん (drum、松田耕太郎)に声をかけた。

その編成で2022年の4月にライブをやって、その後すぐに、とよちゃん (Vo.Gu、Koichiro Toyoda)を誘って、今の形の編成になるんけど。

-もっとやってるような感じもするけど、まだ2年なんですね。-

まさや : 自分は丸2年って感じがするかも。

-GORO GOLOの延長というより、メッセージやコンセプト、音楽性も含めてガラッと変えたいという気持ちはあった?-

スガナミ : うん。私はライブハウス(下北沢LIVE HAUS)の店長をしていて、色々なミュージシャンを観ている中で、音楽を一緒に作ってみたいと思っていた人たちに声をかけたのが今回で、誰かが中心となるバンドではなく、集まった人たちそれぞれの表現が入り混じるバンドをやりたいと考えていて。

ユイマ : バンド名がそもそもThiiird Placeだし、コンセプトは初めからそれとなく共通認識であったかも。

スガナミ : Thiiird Placeという言葉は、家でも職場でも学校でもない、関係に縛られない第三の場所という意味で、例えば公園とかを指す言葉なんだけど、音楽でいうと、それはライブハウスとかクラブの理想形にも近い気が自分にはしていて。

コロナ禍にライブやパーティーが止まる中で、ライブハウスやクラブが持つ意味を考えるようになって。それまでは皆んなで集まって音楽を楽しむことは日常にあって、麻痺していたというか、当たり前だったそれが出来なくなって、それは特別なことだったんだと気付かされたというか。

まさや : そうだね。

-それはリヴハウスが生まれたこともきっかけとしてある?-

スガナミ : そうかもね。

-そのコンセプトが、リヴハウスのbarの看板に書かれている「君がいつでも帰って来れるように」という事メッセージにも通じる気がしていて。-

リヴハウスのドリンクカウンターの壁に掛かっているボードの写真。「君がいつでも帰ってこれるように」というメッセージが書かれている

リヴハウスのドリンクカウンターの壁に掛かっているボードの写真。「君がいつでも帰ってこれるように」というメッセージが書かれている

スガナミ : うん。あとは、Thiiird Placeというバンド名の中には、iが3つ並んでいて、それは、『自分』と『相手』と『他者』、それぞれの存在、違いや結びつきをあらわしていて。

まさや : 複数性というか、

スガナミ : うん。そしてそれは街だったり場所だったりするのかなと。だから、Thiiird Placeは一つの街のようなバンドにしたいと思って。

-コロナ禍で、ユウさんたちが矢面に立ってきたSaveOurSpace (コロナ禍でダメージを受けた音楽のベニューや関わる人たちへの公的支援を求める取り組み)の活動などを経て、社会的なことや、自分たちの場所のことを考えることは自然な流れだと思うし、それをちゃんとバンドとして形にするのはすごいなぁと。同時に、ある種の政治観みたいなものが音楽の中に居ることになると思うし、その辺のことは始めるときに何か話したりはした?-

スガナミ : 特に話してないかも、ただ、私の当時の活動を見てくれている人もいたと思うから、その辺の、私と一緒にやることでのリスクみたいなものを感じる人もいるかなぁと思ったりはした。

一同 : 爆笑

-Thiiird Placeのコンセプトや、歌っている内容を聴いたり一緒にやっていればどういうメッセージなのかは絶対に分かる。でもそれは別に右と左とかを歌っているわけではなくて、当たり前のことを歌っている。生活のことでもあるし。でもなんでこれが政治的になっちゃうかというと、世の中がちょっとおかしいからだと思う。すごく普通のことではある、歌っていること自体は。-

まさや : 個人的なことっていうのは政治的なことってよく言われるけど、まさにそう思う。僕は誘ってもらった時に嬉しくて、(スガナミの)活動を知っていたからこそ嬉しくて。自分は、、なんだろうな、政治的なことというか、活動的なことはしたいなと思いつつも、すごく葛藤があって。そんな時に誘ってもらって、あぁこれだったら賛同できるし、表現に変えられるなと思って、一緒に出来るなと思ってすごく嬉しくて。やるべきというか、自分にとってやるべきだと思って。社会の影響とかはあんまり考えずに。

スガナミ : それは聞いたことなかった!

一同 : 笑

まさや : 特に面談があるとかではないから笑

スガナミ : 普段から常にそういう話をしているわけでもなくて、当たり前だけどバンド自体は個々の政治信条とか考え方も自由でよくて、色んな生き方の人が集まって一緒に音を出している状況自体がひとつのメッセージというか、Thiiird Place的かなと思うから、色んな考えが入り混じってることが良くて。

まさや : ここでみんなで意見を合わせて、みたいなことはそれこそ違うというか。

スガナミ : そうそう、ある種そういう二元論的じゃない人間同士の関わり、コミュニケーションをバンドで表現するというか。

-ユイマ的にはどう?-

ユイマ : うーん、(スガナミの当時の)活動を見てて、私も私なりに当時色んなことを考えていて、わたしが出来ることはこういうことかなというのはあったけど、音楽はそんなにそこと繋がってなくて、私的には。(Thiiird Placeに至る流れは)自然な流れだったし。ポリティカルなことは全然いいし、(当時の状況や活動とは)多分繋がってはいるんだろうけど、普遍的な部分はそれとは別で思っていたというか。さっき話に出ていた、色んな人が居ていいっていうのもすごく大事だと思っているし。

-Thiiird Placeは政治的なことを押し付けがましく歌っているわけでは全然ないんだけど、バンドと並行してユウさんの活動というものがあったから、みんなが一緒にやるということがひとつのメッセージにはなっていたかなと思う。-

ユイマ : ステージの中でメッセージを伝えたときに、(政治的なメッセージであっても)見え方が変わるから、ちゃんとエンターテイメントとして見えるようになってて、同じことを言ってても、受け取り方が変わってくるような気がしてて。なんだろうな、活動で見ているときはやっぱ考えるし、自分も何かしようっていう気持ちになる。ステージを観る時は感情が揺さぶられるじゃん、それって(効果が)違う感じがするんだよね。

ユイマが話している写真

ユイマが話している写真

スガナミ : うんうん、それって音楽だからかなぁ。

ユイマ : ユウさん自体も(活動とステージの時では)違うと思うんだよね、だから受け取り手も感じ方が違うと思うし。その違いが面白いなと思う単純に。

スガナミ : たしかに。

-他のメンバーも含めて、そういったこと(政治や社会のこと)をメインで話す時間をわざわざ作っているわけではないんですね。-

ユイマ : 考えている人は多いよね。

スガナミ : 考えている人は多い!

-そんな感じはします。だからそれがバンドとしての説得力に繋がるのかな。-

スガナミ : ふとした時にそういう(政治や社会の)話題になった時に、あぁ一緒にやっている意味はこういうことなんだなって感じる瞬間があるかな。あとは、気の良い人たちとやりたいというのがずっとあって。

ユイマ : それってなんで?いや私もそうだから分かるけど笑

なんでそう思ったの?

スガナミ : なんというか、優しいと思える人といたいじゃん生活も笑

シンプルに近年はどんどんそうなってきていて。バンドもそうだし。

ユイマ : それむっちゃ考える。でも一方でぶつかり合って音楽を作る人もいるから、それも面白い時もあったり。

スガナミ : 2人(ユイマとまさや)はプレイヤーとして色んな音楽の現場に行くもんね。

まさや : そうねぇ、厳しい人ねー、

ユイマ : その人も、自分の世界観をちゃんと全うしようとしてるんだろうなって。

だから、ミュージシャンとして生きていくって本当に様々だから。(その中で)優しくいるのってすごいよね。平和だよね。

ユウさんは上手いよね。オリャーって感じじゃなくて、さりげなく、みんなやろー、みたいな笑

スガナミ : (自分には)出来ないことも多いから、とにかく人に頼って笑

Thiiird Placeは13人もいるから頼りたい放題笑

大所帯だから特にかもしれないけど、面白いのは、演奏の中で、人同士の押し引きがあるじゃん。どこで自分が前に出て、どこで人を立てる側に回るか。それぞれがそれを出来ないと13人の演奏は成立しない。それって、やっぱり人に対しての優しさとかがすごく重要なんじゃないかって自分の中では思っていて。ある程度人のことを考えられないと難しいのかなって。それって、その人の性格とか、人と接する時のムードとかがすごく重要で。そうじゃないと誰かがすごく突出したものになっちゃうから。だから、音のやり取りを通して会話をしているイメージ。で、その音のやり取りがそれぞれの性格に繋がっているとなんか思ってて。Thiiird Placeは特にそれを感じる。

-今言っていたことが、歌詞になっていたりとか、曲のテーマとして存在している感じですよね。-

ユイマ : うん。バンドの在り方がそもそもそうなってる。

-コンセプトとして”優しさ”みたいなものがあるからこそ、優しい人を呼ぶし、優しい集まりになるし、優しい歌を歌うしっていう。-

一同 : 笑

スガナミ : もうちょっとエッジ効かせようみたいなことをたまに思ったりするんだけど、、

ユイマ : 私がだいたいそれを言う笑

-エッジの部分は曲とかアレンジに出てるよね、音楽として。-

ユイマ : そう、だってやる曲はアフロとかジャズとかなわけじゃん笑

スガナミ : そうなんだよね笑

優しい人が多いから、演奏もどうしても丸くなりがちなところを、この2人(ユイマとまさや)がどうにか引き上げようとしてくれる。

ユイマ : あーでもこーでもないって言ってね笑

スガナミ : 放っておくと、自分も含めてぽやぼやしちゃうので笑

まさや : 自分は、バンドとしてアフロソウルジャズとかを標榜してもらってるから(アレンジや曲作り)が出来るんだよね、割と看板に出してくれてるから。じゃあだったらこうしてみようかという指針にはいつもしてて、アフロソウルジャズでやるんだったらこうかなとかをシンプルに考えているだけで。そう、でも、なんだろうな、それでも、バンドでやるから。誰か1人が作ればそれは音楽は完成するだろうなと思っているけど、あえて13人なりでやるんだとしたら、(曲やアレンジの設計図を)このくらいまでにしてあとは任せようかなとか、それぞれにみんなやってるんだと思う。作り込もうと思えば1人で出来ちゃうわけじゃん。でもあえてバンドでやるっていう。

スガナミ : その良さをね。

まさや : だし、これは難しいから無理だな〜みたいなのとかもあるわけじゃんぶっちゃけ笑

ユイマ : 笑

いや、(それも)やろうよ!

まさや : うん、やろうよとは思うけど、無理だったらこのメンバーで出来る良い感じに落ち着こうっていうか、そこが、なんだろう、バンドの限定的で良い部分だと思う。プロを呼んでやるなら、そんなんいくらでも難易度を上げればいいけど、この13人でやるってことに意味を持たせるのがバンドだから。

まさやが話している写真

まさやが話している写真

-うん、ほんとそう。僕が思うバンドの良さって、上手くないことっていう。-

まさや : そう!ほんとそう思う。

ユイマ : 笑

-最近は皆んな上手すぎるっていうか笑-

ユイマ : たしかに上手すぎると面白くないんだよなー、わかる〜。

-やっぱり人間味とかあるとアガるし、めちゃくちゃミスしてほしいんだよね。だからバンドでやってるんだし。-

まさや : そう、足りなかったり、余剰がありまくってるなみたいな部分が。うん、そこが、ヘタウマの部分が一番バンドで良いところだから。

スガナミ : それこそ、鍵盤奏者のエマーソン北村さんと共演したときに、エマーソンさんがご自身のソロライブのMCで「バンドって思い通りにならないから良いですよね」って言ってて、その言葉を聞いて本当にそうだなと思って、誰の思い通りにもなってない、それがバンド良さっていうか。

ユイマ : へーそうなのか、(エマーソンさんの考え方)すげー。その言葉を咀嚼するのに一カ月くらいかかりそう。

-(エマーソンさんの言葉について)そう思うし、でも皆んなが自分の思い通りにしたい。-

スガナミ : そう、皆んなが思い通りにしたいけど、ならない。それがバンド笑

-でもたまに皆んなの思いが一致する瞬間があって、これだ!ってなるからやめられない。-

まさや : やっぱりね、こう、(展開を)引き伸ばされてる感じ、サスペンスが続いてるみたいな感じ。この後どうなるんだ!みたいな笑

それがいい、それが本当にいい。

-13人もいるけど、みんながそれぞれバンドの一員として、自分で何かしら考えてバンドを動かそうとするのが大事ですよね。3人から思うメンバーってどんな感じの存在なんですか?-

ユイマ : かわいい、なんかみんなかわいい。みんな優しい、とにかく笑

スガナミ : 13人いるからなー、1人づつ話すと長くなる笑

ユイマ : 正直(メンバー)それぞれがどういう人となりでとか、どういう出会いで、とかって、やっぱりゆうさんがきっかけなんだよ。私は、気づいたらみんないたみたいな感じ笑

未だに色々謎だもん。

-最初音を出したときの印象とかは?-

スガナミ : Thiiird Placeをやろうってなった時に最初に作ったのが”Shoes”で。はるかが作っていた鍵盤のフレーズや展開のアイディアがあって、それを2人で流れをまとめて、自分がイントロを付けて、そのデモを持って、アンディとユイマとスタジオに入って、こういう曲やりたいって、デモを聴きながら、バラバラの靴になぞらえてエンパシー(自分以外の他者を理解すること)をテーマにした曲にしたいという話をして。それでユイマとアンディに、メロディを作ってきてほしいと言って、それで後日2人が作ってきてくれて、一番とサビはアンディが作ってきたメロディが使われていて、二番はユイマが作ってきたメロディが使われてるんだけど。で、エンパシーになぞらえて歌詞をアンディとユイマが作っていって。

ユイマ : そう、みんなでカフェで話したよね、その時のことすっごい憶えてる。

スガナミ : うん、エンパシーについてみんなで話して。

ユイマ : 私はその時、親友が家族と縁を切るみたいな状況になっちゃって、彼女の在り方が、社会の中で難しいとされちゃっていて。家族から見ても、彼女が異常だって思われてて。私はその親友とずっと一緒にいたし、全然そんなこと思わないけど、それぞれの価値観によって、人に対する思いがこんなにもかけ離れてしまうのかと。なんかそういうタイミングだったかなぁ。

スガナミ : まさしくエンパシーの話だよね、それは。

ユイマ : そういう思いを込めようって思ったことをすごい憶えてる。

スガナミ : それで、出来たものをスタジオに持っていって、みんなでアレンジしたって感じで。

ユイマ : あれは本当みんなで作った曲だね。楽しかったね、作曲していて。

スガナミ : 人となりでいうと、まさやはムードメイカーというか、現場慣れしてるから、はじめましての人にも積極的にコミュニケーション取ってくれるから助かってる。

ユイマ : そうそう助かるーまじで。

スガナミ : 導いてくれるっていうか。

ユイマ : (まさやが)むっちゃ喋るからよく止めるんだけど笑

一同 : 爆笑

まさや : そう、突っ込み役がいないんだよね笑

ユイマ : わたしくらいだよ笑

スガナミ : (みんな)突っ込まないから!

-みんな優しいから?笑-

スガナミ : そう!人を突っ込んだりしないから!

まさや : みんなニコニコしてる笑

ユイマ : (まさやが) 全然関係ない話ししとるやんって時もニコニコ聞いてて笑

まさや : そう!今口動かすのが楽しいだけだからみたいな時も笑

別に内容とかないよみたいな時も笑

-はるかさんが当初(まさやに対して)何だこの人って思ってたみたいな話を聞いたことある笑-

一同 : 爆笑

ユイマ : ふたりがさぁ(ペースが)あまりに違いすぎててめっちゃ面白いの!

スガナミ : (会話などの)スピード感がね、違う笑

それが面白いんだよなー。

ユイマ : 最近はそれが、(スピードが)倍テンみたいな感じで合ってきてる笑

まさや : そう笑

まさにそう!

ユイマ : 今ぴったりきてるよね笑

スガナミ : はるかはゆったりしたところがある人だし、鍵盤もはるからしいタイム感やフレージングというか、はるか自身みたいなピアノというか、性格に直結してる感じがする。

ユイマ : Thiiird Placeは、ハルカさんのピアノの雰囲気って(バンド全体のイメージに)すごいあると思う。なんかあれがもっとアフロやジャズっぽいピアノとかだと、

スガナミ : まんまになっちゃう。

ユイマ : 多分ね、そういうバンドはあると思うんだよ。

まさや : そうね、重厚に弾きすぎないから。

スガナミ : (はるかの鍵盤は)温もり系だからね。

ユイマ : ピュアだよね。

-楽曲のクレジットを見ても、作曲にはるかさんの名前がある曲が多いですもんね。決まった人が作っている感じじゃなくて、それぞれの楽曲に色んな人が参加してるのが特徴的だなと。-

スガナミ : 曲の作り方は曲毎にそれぞれで、来れる人で少数で集まって作ったやつをスタジオに持っていくパターンとか。だからその時に集まった人の組み合わせとかで、出来る曲の感じも全然違うから面白かったりする。

ユイマ : 調子が悪くてスタジオに行けなかったりする日にもう曲が出来てるみたいな笑

まさや : それがマジでいいよね。それこそ無限に曲もアレンジも選択肢がある中で、作れるからこそ、(曲ごとに)どっかを限定化していかないと、決められなくなって、作れないからね。

ユイマ : そこもすごいと思う。とにかく(作曲やアレンジを)進めるんだよね。ユウさんがずっと進めようとしているのかな笑

まさや : その感じ分かる。これやろうって(ユウさんが)言って、ちゃんと次のライブでやろうって目標を立てていくから。自分も思うけどそれが一番大事なんだよね。

ユイマ : それが意外と一番難しいと思う、バンドやる上で。やるって決めて、やるために、なんか(まだ未完成で)うわーってなってても、とりあえずやるみたいな笑

-出来てないっていうか、作りかけの曲はあんまりないって感じ?-

スガナミ : まぁ(どの曲も)とりあえず一度やってみるみたいな感じで、ライブで。

ユイマ : 結構みんな毎回ドキドキしてる、出来るかな、みたいな。

まさや : ライブでやった方が(アレンジや演奏が)固まってくるしね、上手くなるしね。

スガナミ : (ライブでやってみると)意味が分かってくるというか、曲の。

ユイマ : それは絶対そうだよね。

スガナミ : 曲の種を(スタジオに)持っていって、まとめていく上で、まさやが簡単な譜面に起こしてくれて、次のスタジオまでに色んなアイディアを入れてくれて、それを乗せて形にしていくみたいなパターンが最近出来てきているから、最初の段階でいくらシンプルに作っても、肉付けしてくれたりして、それがめっちゃありがたい。

-最初に歌詞とか曲のテーマはある?-

スガナミ : テーマだけはあって。テーマから歌詞やメロディ、コード進行を作り始める。

ユイマ : はるかさんとユウさんで最初作るパターンも多いよね。

まさや : ゼロイチの部分を。

スガナミ : とよちゃんと作る時もあるし、とよちゃんが持ってきたものから作る時もあるし。

-最初にテーマがあるからこそブレずに、ぐちゃぐちゃにならずに芯のあるものになるのかな。-

スガナミ : 曲のテーマだけは共有して作っていくから。

-なるほど。曲の話にもなってきたし、アルバムのことを聞いていきましょうか。配信の曲順で話を聞いていこうかな。一曲目はインスト曲の”Welcome to Thiiird Place”-

スガナミ : この曲は、バディ・リッチのライブ盤”ザ・ロアー・オブ '74”のような、めっちゃ早いインストのジャズ曲を作りたいって思っていて。原さん(tp)にアイディアをお願いして。

スガナミ : なんだけど、いざ作ろうって日のスタジオに原さんが来れなくて笑

まさや : いよいよ作ろうかって日にね笑

スガナミ : 手元には原さんからもらったメモ、ざっくりとした曲の進行のイメージと曲のキーだけあって。それを頼りにみんなで曲のタタキを作って。それでその後に原さんがホーンのメインリフを作ってくれて仕上げていった感じ。ライブのオープニングでやる曲として。

まさや : ホーンをもっと重ねたかったね、ホーンセクションをもう1回づつ録るみたいな。

スガナミ : 厚みをね。それこそビックバンドのようなね。でもセクションにバリトンサックスがいるのってすごく良いなと思った。フレーズの重さが全然違うなって。

あと、(プレイが)思い切りがいいんですよポンさん(b.sax)は。それも良いんだよね。

ユイマ : そうかも。

-バリトンは音源だとライブよりさらに抜けて印象的に聴こえてますね。この曲は音源でも一曲目って感じの印象で、気持ちいいアルバムの始まりになってる。そこから自然な感じで二曲目の”Shoes”に入っていく。-

ユイマ : この曲はさ、アンディが引っ張ってってくれたよね。アンディはエネルギーのかたまりみたいな人で、その感じが曲の雰囲気にも出てると思う。

スガナミ : アンディは優しくてシャイな部分もあるけど、音楽的な才能がとてもある人。

ユイマ : アンディはボーカルの録音とかも全部一発(1テイク)だったり。普通にちょーヤバい笑

スガナミ : アレンジとしてはSilk Sonicみたいなイメージを、もうちょっとヤンチャな感じで。

-LPのインフォとかを見るとキッズ・ソウルって書かれていたり。-

スガナミ : うん、そういう感じで作ったね。

-7インチでも出てますけど、本当にいい曲ですよね。そして三曲目は”Pass the Soup”-

スガナミ : この曲は60sのソウル、オールディーズみたいなイメージで私が持ってきた曲。曲ってバンドで作るとどうしても長くなりがちだから、3分以内のサラッとした曲を作ろうみたいな感じで。あとブガルーぽいアレンジをいれて。

まさや : かわいい感じで。

スガナミ : でも、MIXの時に聴いてて、ちょっと単調になっちゃうからということで、途中でdubパートを笑

まさや : ちょっとスープを煮込む感じで笑

ユイマ : MIXに立ち会えてないんだけど、あのdubパートは誰のアイディアだったの?笑

スガナミ : あれはまさやのアイディアで笑

まさや : (エンジニアの)向さんに(dub MIXを)ちょっとやろ〜ってお願いして。「こういうのは楽しいですから」ってノリノリで付き合ってくれて笑

-この曲は、スープを分け合うというテーマで、普通にやると重い雰囲気になりそうだけど(曲として)かわいい感じに仕上がっていて良いですよね。-

スガナミ : 曲中の「fu fu fu」というコーラスはよくあるソウル的なコーラスフレーズとして付けたんだけど、アンディが、「このコーラスってスープを冷ます時のフーでしょ?」って聞いてきて。

一同 : 爆笑

スガナミ : (その解釈もアンディも)かわいいっ!!って思って!笑

-キッズソウルだし、子供も歌いやすいかも。-

ユイマ : あーいいね!もっとポップにして振りとか付けたりして。

スガナミ : たしかにね!

-四曲目が”ears”。ちょっとアフリカっぽいアレンジの曲でライブでやってても少し毛色が違う感じの曲ですね。”

スガナミ : うん、 とよちゃんがメインで作ってくれた曲で。

ユイマ : 良いよね、歌詞がね。

スガナミ : とよちゃんって自分でバンドをやっていて、シンガーソングライターだから、(Thiiird Place)に入った時に自分が(主に)作った曲があるとさ、よりバンドにコミットしやすいかなと思ったし、とよちゃんの曲をやりたいと思っていたから、はるかととよちゃんと3人で曲作ろうって何にも決めずにリヴハウスに集まって。曲のテーマどうしようって雑談しながら話していく中で、人の話をちゃんと聞く、というテーマで作ろうかという話になり。

ユイマ : (人の話を聞くこと)それ今朝もめっちゃ思った私笑 

たまたまキューバの人と喧嘩して、あぁ人の話をもっとちゃんと聞かないとなって。

スガナミ : それでshoesの次はearsですかね、となり。そしたらとよちゃんがearsの冒頭のメロディをアドリブで歌い出して、それめっちゃ良いじゃんってなって、そこからリズムインして、ラテン、キューバンとボッサ、レゲトンをミックスしたような感じで作ろうって。スタジオの時のリファレンスには、Quantic & Nickodemusの”Mi Swing es Tropical”を持っていった。

ユイマ : (earsは)やってて楽しいよね。

まさや : 途中、イパネマの娘(のコード進行)を丸々入れたり。この曲くらいからかなぁコードとかアレンジを(自分が)触るようになったのは。

スガナミ : そうだよね、この曲を作った時くらいから、まさやが全体のアレンジにコミットするようになる。

まさや : 勉強してね。今までそんなに(勉強)してこなかったけど、このバンドは(勉強して試すことが)出来るなと思って。

スガナミ : (まさやは)もうすでに色々経験してきて、(編曲などのアイディアを)出してる気がしてた!

まさや : いや、なんかほんと、久しぶりに鍵盤も触るようになったし、色々な楽器があるからさ、(アレンジをすることが)面白いんだよね。

-ここまでの前半の四曲はそれぞれ雰囲気が違うから聴いていて楽しい。アルバム後半にいくにつれて、だんだんだんだん深くなっていく感じもありますね。-

まさや : ウェットになっていく感じするよね、前半はドライ目にいってる感じ。

スガナミ : 曲順は、配信もLPもパーカッションの福ちゃんが考えてくれて。福ちゃんはDJだし。

-たしかに、DJ的な流れを感じる曲順かもしれない。聴いてて気持ちいい感じ。歌詞的にも曲ごとに繋がっていってる感じもする。earsの「Cuéntanos historia (話を聞かせて)」というコーラスはスペイン語?-

スガナミ : そう!作ってるときに、コーラスの語感的にも、日本語でも英語でもないフレーズを入れたいねと話していて。アンディのラップパートも、英語とスペイン語がミックスされたリリックで。

-なるほど。五曲目がインスト曲の”i&i&i”-

スガナミ : i&i&iは、フェラ・クティの”Roforofo Fight”のリズムの感じを下敷きにインストを作りたいと思って、はるかとスタジオに入って、はるかがフレーズのアイディアを出してくれて、それを繋げて展開をざっくり決めた感じ。

スガナミ : Roforofo FightよりBPMが全然遅いので結果的に全然違うノリの曲になったけど。個人的には、ロンちゃん(a.sax)とトミー(gu)のソロパートから鍵盤のブレイクに至る間奏部の流れが綺麗で気に入ってる。ギターのソロのところは細かくコードが変わっていったりして。

まさや : (コードが)降りていく部分ね。重くならないように(コード進行を)意識した。

スガナミ : 鍵盤のブレイクのところはなんとなくハウスミュージックのフィーリングも感じるんだよなぁ。この曲はよく出来たね。みんなで演奏している感じがして楽しい。

ユイマ : うん、よく出来た。

スガナミ : サックスのロンちゃんって、Thiiird Placeが人生初めてのレコーディングだったらしいんだけど、素敵なソロをメイクしていて、すごいなぁと思ったのを憶えてる。ロンちゃんはすごく好奇心旺盛で前向きな人で助かるよね。トミーのギターソロもとっても良いよね。トミーはDJやcomposerだったり色々な面を持っているけど、ひとつひとつ音楽に対して真摯に向き合っている人で。トミーのギターにはいつもジャズやヒップホップのフィールを感じる。とよちゃんのギターはソウルやブルースのフィールを感じるし、アルバムを通して2人のギターのコントラストやコンビネーションも聴きどころかなと思う。

インスト曲、もっとやりたいよね。

まさや : そうね、ライブでも歌物のあいだにこの曲が入ってると良いんだよね。

-それぞれの楽器が目立って、ちゃんとみんなが主役になれてる感じがありますよね。-

スガナミ : まさにiが3つ混じり合う感じ。i&i&iは自主企画のタイトルにもなってるし。

アルバムのジャケットも3つのiが強調されたデザインになっていて。そう、北山雅和さんが手掛けてくれたアルバムのデザインも素晴らしいのでぜひLPを手に取ってほしいですね。

-そうですね。次は六曲目”Miles Day Blues”-

スガナミ : Miles Day Bluesは、私がメロディと歌詞、簡単なコード進行をスタジオに持っていって。Colemineとかの、現行のソウルリバイバルのフィールというか、ゆったりした感じのソウル曲にしたいと提案して、みんなで肉付けした感じ。

ユイマ : BPMを決めるのに一番時間がかかった。

スガナミ : 曲が出来た時よりも、かなり遅く録って。BPM63とかかな。その辺は福ちゃんが譲らず笑

なんだったら60くらいが良いと言ってて。

スガナミ : (テンポに)慣れるまで大変だったよね。ボーカルはユイマとただし(per)にお願いして。ただしってすごく良い声だから、ただしをフィーチャーした曲にしたくて。歌詞のテーマとしては、遠くに旅立った友だちに宛てた手紙をイメージした曲なんだよね。

-いいですよね、僕すごい好きですよこの曲。-

まさや : ソロの16小節はコルトレーンのナイーマのコード進行です笑

マイルスじゃなくてコルトレーンから借りてきた笑

一同 : 笑

スガナミ : 色んな土地にいる友だちを思い出す曲。

-Thiiird Placeはツアーとかは行ったことは?-

ユイマ : (行ったこと)ないね。

スガナミ : 行きたいよね。そういえば、Thiiird Placeを作る時に、色んな国で演奏出来るバンドにしたいと思ってたの。

まさや : まだ下北沢と渋谷までしか行ったことがない笑

一同 : 爆笑

スガナミ : お金もかかるし大変だろうけど、夢だね、色んな国で演奏するの。絶対楽しいと思うんだよね、みんなで美味しいもの食べたりして。

-曲のメッセージとかも、もしかすると違う場所だとより伝わる部分が出てきたりするかもしれないし。それこそ、そういう時アンディみたいな存在はデカくなってくると思うし。-

ユイマ : そうだね、(色んな人に)伝わったらいいよね。

-次は七曲目”a (hey)”、この曲は最初ライブで聴いたときグッときた。-

まさや : aって言ってるのに音がGだから?

一同 : 爆笑

-曲のタイトルはどういう意味なんですか?-

スガナミ : aは、一つのとか、1人のとか、そういう意味で、それぞれであることを指してて、(hey)は、それぞれが呼びかけ合っていることを意味してて。

ユイマ : コーラスの「エイ!」は私は応援のつもりで言ってた。

スガナミ : たしかに個人に対する応援の掛け声でもあるね。その中で、私とアンディのヴァースがあって、私のヴァースは、最近の自分の人生観というか、マジョリティの属性の自分がどう他者と向き合い生きていくかを歌詞にしていて、アンディは家族のことだったり、バンドのことを歌っていて、それは決して一緒の価値観ではなくて、それぞれ存在しながら、ドラマチックにコーラスが入ってくるラストに繋がっていくんだけど、作った当初は最後のコーラスパートがなくて、スタジオでみんなで作っていった感じ。良いアレンジになったよね。

-この曲のユウさんのヴァースは、他の曲に比べて直接的というか、一番ハッキリと伝えていますよね。ちゃんと自分のこととして歌っているし。時代が変われば歌詞も変わっていくのかなと、そういう曲かなと思った。-

スガナミ : うん、変わっていくと思う。

ユイマ : いいよね、ポエトリーとしても。

-だからこれは、あらためてハッとさせられる歌詞だなと。-

まさや : グッと引き寄せた歌詞だよね。

スガナミ : Thiiird Placeは歌える人が多いバンドだから、(ステージで)自分はある種何もやらなくてもいいんだけど、みんなが持っている歌や楽器の個性と自分を照らし合わせてみて、じゃあ自分の個性、というか出来ることはなんだろうと考えたときに、言葉を発するということなのかなと思って。だからそういうイメージでThiiird Placeの中に存在している感じ。

まさや : 究極言うと全員がそうであるのがバンドだと思う。それが良いよね。これしか出来ませんの集まりがバンド。

-ある意味でこの曲も、歌詞に対して、別のアプローチでみんなが演奏している雰囲気がある。-

スガナミ : そうそうそう!それも良いんだよね。

まさや : 分かる。

-それぞれの解釈が違う感じ。ユウさんの歌詞を聴かせたかったらもうちょっと聴かせる感じの演奏になりそうだけど、楽器がみんな楽しそうにしてる。-

ユイマ : たしかにね、面白いなー笑

まさや : (演奏の雰囲気で歌詞の聴こえ方が)シリアスになり過ぎずに良いよね。

-そこからのアンディの軽やかなラップもすごく気持ちいいし。重くなり過ぎずすごく良いバランスで出来てますね。-

ユイマ : 確かに、重くない。バンドの在り方がそうだから。

-(こういう歌詞を)やろうとすると重くなりがちだから。-

ユイマ : なるだろうなー、人が人なら。

まさや : その(軽やかさ)を担保しているのがはるかのピアノだと思う。

ユイマ : 分かる、ほんとそうなんだよ。

まさや : ここで重厚にズンズンズンズン弾いたら重くなるから。

ユイマ : あの人(はるか)は全部分かった上でああだから、やっぱすごい人だなーと思ってて。宇宙(みたいな人)。

スガナミ : 宇宙 笑

-それで、八曲目は”それから、どうする”-

スガナミ : ”それから、どうする”は、、

今って失敗できない世の中の空気みたいなのってあるじゃないですか、それがある部分で難しいなと思っていて。間違うことがあるとして、じゃあ、それからどうするのかが重要じゃないかなとずっと思っていて。誰かを傷つけてしまったときに、それからどうすべきかを考えることが大事で、、

答えのない曲ではあるんだけど。

-そうですよね。僕たちの世代もずっと間違い続けてきたというか、間違いを教えてもらえない世代だった気がする。たとえば人を馬鹿にする笑いとかって今は違うってなるけど、(子供のころからテレビを付ければ)それが当たり前にあったし、(自分の生活の中でも)周りにそれをやってしまっていたこともあったろうし、それが間違ってるって教えられてこなかったけど、今振り返ると間違ったことをしていたなって思うこといっぱいあって。それをちゃんと間違ってたって認識した上で、じゃあどうするって。今までの自分たちに言われている感じもする。-

仲原さんが話している写真

仲原さんが話している写真

ユイマ : よー考えとるなぁ

一同 : 笑

まさや : でもほんとそう。

-今、自分たちの世代は、(これまでの間違った状況から)自分自身がどうしていくかを考えながら生きていく必要がある。-

ユイマ : 私は最近すごく未来や次の世代のことを考えるようになって。私はこれから何が出来るんだろうみたいな。だから、それからどうするって、そうか未来のことかって。

-この曲は、こうしろって言われるわけじゃないし、どうする?って聞かれるだけで。-

ユイマ : (考える)きっかけになる曲。「君と私が違うなら」っいう歌詞も好き。だって(人それぞれ)違うじゃん。でもそれが当たり前ってなったらいいけど、それがそもそも難しい。

スガナミ : そうなんだよねぇ。(他者のことを)自分と同一視して考えてしまいがちだしね。でも実際全員違うじゃん、考え方や生きてきた環境や状況も違うし。

ユイマ : (自分と他者をちゃんと切り離して認め合えることは)誰もが難しいことかもしれないけど、諦めないで考え続けるってことだよね。

-アルバムのインフォにも、どう他者と向き合っていくか、他者とのコミュニケーションについて、ひとりひとりの違いを知ること、ということが書かれていて。-

ユイマ : この曲をつくった時もそうだけど、ほんとうにそのことは、とことん私も考えたいところだから。

-13人いるっていうのが、まずそれだからね。-

ユイマ : たしかに笑

-(13人)ひとりひとり違うし、その先にどうみんなと向き合っていくかだから笑

バンドの在り方が一番出てる歌詞なのかも。例えば誰かがもう辞めたいってなったときに、それこそ、辞めてもいいけど、また戻ってこれるのがこのバンドの在り方みたいな。-

ユイマ : そうなんだよね。

スガナミ : それはもう、そういうものとして(Thiiird Placeを)作ったから。無理しないっていう。

まさや : そうね、いつでも辞められるから、続けようかなって笑

一同 : 爆笑

-今日のライブ全員いるから撮影してほしい、って言われたけど、(全員揃うのは)毎回じゃないんだ!?って驚いた笑

スガナミ : むしろ全員揃った日は一回しかない。

一同 : 笑

ユイマ : 一回しかないのヤバいね笑

-そのユルさがThiiird Placeの在り方だなぁと思う。-

スガナミ : やっぱりこれまでのバンド観とか、音楽の現場って、根性論になりがちというか。

-なってたし、今でもそういう部分はあるし。-

スガナミ : 誰かが担っている部分が大きいとしょうがない場面もあるとは思うんだけど、まぁそれすら役割を工夫して、その時々でやれたらなと思っていて。

-マッチョな感じだけじゃなく、バンドにも色んな形があるって伝えられるのも大事ですよね。

ユイマ : うんうん、そうだねたしかに。楽しんでやるっていうね。

-ライブを観にくればそれが伝わる感じがする、Thiiird Placeは。次が九曲目”この場所”-

スガナミ : この場所は、ある種Thiiird Placeのテーマみたいなものと掛かっている曲で。元々The Lebron Brothersというブルックリンのラテン兄弟の”Let's Make Up”という曲からインスパイアされて、コードとメロディを付けていて。歌詞のテーマは全然違うんだけどね、そういうきっかけで書いた曲。

ユイマ : この曲は、ライブを観てくれた人が、感動して泣いちゃいましたとか感想をもらったりする曲。

スガナミ : 逃げ場がない人とか行き場のない人に、みんなに居場所があるといいなと思って作った曲で。歌い出しの「かなしい響きの言葉が街に溢れるなら」というのは、街で起こるヘイトスピーチを指していて、もちろんそれはやめさせないといけないんだけど、同時に心が安心できる場所も必要だと思っていて。

それはある種自分にとってはThiiird Placeだったりするんだろうし、リヴハウスだったりするんだろうし、それは人それぞれ全然違う場所でよくて、でもそれぞれにとってそういう場所がある世の中になったらいいなっていう。

-うん。(録音は)歌い方が明るいですよね”

スガナミ : カラッとね。

-そう、カラッとしてる-

ユイマ : ラテンだもんね、これ。

まさや : オープンだよね、かなりね。

-だからメッセージが明るく伝わってくるから、安心感があるよね。-

スガナミ : 悲壮感じゃない感じの歌い方。

-そう、悲壮感じゃなくて。カラッと歌ってくれていて、いいなと思う。ソウルでも何でもルーツとなる人たちはそういう歌詞をカラッと歌っていたりもするから、(曲のアウトプットとして)合ってるよね。まさや的にはどう?-

まさや : たしかにあまり重くなり過ぎないように弾いたかな。

ユイマ : 作った当初のアレンジはもっとロックっぽかったよね。そっちの方がエモい感じのアレンジだったよね。

スガナミ : そうだね。前のアレンジはアレンジで、ライブでやってみても良いかなとも思う、日によっては。

-そうか、エモさね。-

まさや : エモさ、やってる側が盛り上がっちゃうのは自分はあんまり良くないなと思っちゃう。

ユイマ : 笑

そうなのー!?

まさや : (やってる側が)そこに没入し過ぎるとお客さんがついていけなくなったりすることがあるから、自分は基本的に、盛り上がってる感じを出す時は、自分はあまり盛り上がってないかもしれない笑

曲を一番良く聴かせるんだったら、自分はタイプ的にあんまり没入しないほうがよくて。でも、(没入)出来る人はそっちにいっちゃっていい。コウタロウ(Dr)とかすごいもん、むっちゃ良い。でも、みんなでそっちにいっちゃうとね、お客さんを置いってっちゃう時もあるかなって。

スガナミ : 全員で(没入の世界に)いっちゃうとね。

まさや : でもそれが良い場合もあるし、それが好みの人もいると思うけど、自分の好みとして(そういう局面でプレイする時は)ちょっと冷静。

ユイマ : 楽器の役割にもよるかもね。

まさや : もちろんそう。

ユイマ : たしかにベースの人はそういうふうにいてほしいかも。

まさや : あんまり行き過ぎないように、その方がこの曲の意味としても良いかなって。

スガナミ : (その方が曲が)入ってきやすいかもね、もしかしたらね。サラッと。

まさや : そうサラッと。(みんなに安心できる場所があることは)当たり前なんでみたいな、当たり前になるといいなという願いを込めて。なんかあんまりドラマチックにしちゃうと、途方もない夢のように聴こえてしまう気がして、それはよくないなって。

スガナミ : その考え方はいいね、たしかに。

まさや : 当たり前になるようにって。

ユイマ : おー良いこと言う。

-たしかに、曲を聴いていて込み上げるものがすでにあるから、淡々とした演奏でもグッとくるかもしれない。

それで、十曲目が”同じ街を見ている”-

スガナミ : この曲は、はるかと3人でユイマの家で曲を作ろうってなって、最初はLouis Hayes Groupというスピリチュアルジャズのグループの”What’s Going On”のカバーみたいな早い変拍子のスピリチュアルジャズっぽい曲を作りたいと思って、ユイマの家のピアノではるかが色々試行錯誤してくれたんだけど、その時は早いフレーズが出来なくて。

スガナミ : でもなんとなくシンプルなコード進行だけは出来て。で、そのコードのループをボイスメモに録らせてもらって、ユイマの家の近くの公園にひとりでメロディを考えに行って。

ユイマ : それあった。ウチで集まってるのにちょっと行くわみたいな感じで、どっかいっちゃって笑

スガナミ : たまにそういう作り方をする時があって笑

で、公園でメロディと歌詞を作って、ユイマの家に戻って2人に聴かせて。作ったメロディは八分の六拍子で三連符のフィールだとハマるんだけど、そうするとロッカバラードみたいになっちゃって、いなた過ぎると思って。それを、当初の構想にあった変拍子にしようという話をして。コード進行を8分の14拍子に引き直して。この拍子で歌うのは実はすごく難しいんだけど、ユイマが上手くメロディをはめてくれて。

あれを(8分の14拍子の歌を)普通に聴かせるように演奏するってムズくて、最初は。

ユイマ : 難しかった、最初は(拍子の)数字を数えながら歌うみたいなさ、慣れるまで。

スガナミ : 例えばカラオケとかにこの曲が入っていたら歌うのが難しいと思う。多分八分の六拍子だと思ってみんな歌うと思うから。単純そうに聴こえるけど、単純そうに聴かせられるまで苦労した曲かも。でも良く出来た曲。あの拍子だったからあの曲の雰囲気になってると思うし。曲後半の展開とかも、バンドで演奏していて楽しい。

ユイマ : あそこ(曲後半の展開は)すごい良い練習になってると思う、バンドとして。

スガナミ : たしかにね、ああいうフリーなところがね。

ユイマ : (曲の終わりまで)練り上げていく感じが。やるたびにね、(フリーな展開の中で)みんなで息を合わせてやるところだから。

スガナミ : アルバムのレコーディングは、ベーシックは世田谷RECスタジオというところでエンジニアの向さんに録ってもらって。それ以外のウワモノは全部リヴハウスで録音していて。ただしがレコーディングの機材を持っていてエンジニアも出来るから、ウワモノはただしが録っていて。この曲は7分45秒くらいあるんだけど、ボーカルは、ユイマが歌い直しなしで頭から最後まで一発で録って。ただしと2人でユイマのRECを見ていて鳥肌が立った。

ユイマ : 集中し過ぎて、録り終わったあと、バーって涙が溢れてきて。

スガナミ : この曲はそれこそ、(今回のインタビューの聞き手の)タツくんにMVを撮ってもらって。すごく良いMVを。

-拍子が変だと編集が難しい笑

一同 : 笑

スガナミ : タツくんのアイディアで、英語、韓国語、中国語、日本語を字幕に載せたり、あれもすごく良かった。

-歌詞が普遍的だから、(色々な出自の人に)伝わりやすいかなっていうのは思いましたね。-

ユイマ : この曲は、私は最近、トー横のことを考えながら歌っていて。

スガナミ : なるほど。

-ユウさんからは宮下公園と(旧)美竹公園の話は聞いていて。-

スガナミ : うん、なんかほんとに、シュチュエーションは違うけど、色んな人がいて、色んな問題があったりするっていうのはトー横もそうだし。

ユイマ : もう祈りだよね、、ほんと、なんか、祈りの曲。なんか、少しでも、、

-僕もMVの中に、路上生活者の人たちの(美竹公園などでの)暮らしの足跡見たいなところを入れたりはしてるし、やっぱり映像として残すってそういうことだから。それぞれのメンバーを撮る場所とかは相談させてもらって、ルーツとなる場所で撮らせてもらったりしたのも、(そうは思いたくないけど)いつか無くなってしまうかもしれないなということだったり。-

スガナミ : 場所ってそうだよね、色んな理由で無くなっていくから。

-それを映像の中で残すっていうのが、今回のMVの意識にはちょっとありましたね。街について。今日久しぶりに下北沢に電車で来て思ったんだけど、下北ってめちゃくちゃ変わってる。-

スガナミ : どんどんね。

-そんな中で、変わらずに居られる場所として、Thiiird Placeのようなバンドをやってるのって面白いなと思って。ユウさん的に下北ってどういう印象ですか?”

スガナミ : 下北、、

街に関していうとさ、人それぞれその街で見えてる景色が違ったりするっていうか。暮らし方もそれぞれ違うし、馴染みの店も違えばさ、通ってる道も違ったりするじゃん、小さな街の中で。で、それぞれの街への視点が存在するなぁって思ってて。引きで見ると下北ってどんどん変わっていってるけど、例えば自分の視点だと、自分の中の街はそこまで変わってなくて、この店に飲みに行ってとか、あそこのライブハウスに遊びに行ってとか。もちろん無くなっちゃった場所もあってそれはすごく残念だけど、友達が新しく店を始めたりとか、新たな出会いもあるし。”同じ街を見ている”もそうだけど、同じ街にいるけど全然違う生活を送っていたり、全然違う生き方があるのが街だなって思う。その中で、それぞれの街の視点が重なり合う部分があったり、離れている部分があったり。そして、重なり合ってる部分がまた何かを生み出したりするのかな。

スガナミが話している写真。

スガナミが話している写真。

ユイマ : 私はそれが三茶(三軒茶屋)だからね。

スガナミ : 三茶もね、すごく面白い街だよね。

ユイマ : でも三茶の人もここ(リヴハウス)に来るじゃん、若干重なってる。

スガナミ : そうだね、確かにね。

-あとは、今の横のレイヤーだけじゃなくて、(街の)歴史のレイヤーもあるしね。-

スガナミ : そうだね。

-なんで下北ってこんなにライブハウスがあるんだろうとか。-

ユイマ : (理由)気になるね。そういうの知りたい。

まさや : 下北沢は昔、空きアパートが増えて、そこに個人の小さな店が一杯入ったんだよね、最初ね。

スガナミ : そういうことなんだ。

まさや : ちっちゃいお店だったら出来るなと思ってアパートの一室を借りてみんな古着屋とかを始めたんだよね。

スガナミ : なるほどね、北口の方とか今でもまだ(アパートの一室を店舗にしているお店の)名残があるもんね。

まさや : 渋谷は(家賃が)高いし、新宿も高いけど、そこにアクセス出来るクロスポイントが下北だったって何かで観た。ブラタモリかな笑

ユイマ : ブラタモリっぽい笑

一同 : 笑

スガナミ : 下北も今家賃がすごく高いから、昔みたいに新しい人がチャレンジしやすい場所に戻ってくれたらいいなっていうのはある。個人の小さなアプローチができる場所に。

ユイマ : (大きな街に比べたら)下北はまだそれがある方だよね、今も。

-バンドとかの雰囲気もそうじゃないかな。自分たちの音楽を始めたばかりのバンドも、インディペンデントでずっと続けているバンドも出れる場所が全然あるし、自分もまだバンド続けられる、みたいな安心感はまだ下北に残っている気がする。-

スガナミ : そういう人たちの受け皿になれるようにリヴハウスも続けていきたい。

-続けてほしいなって思います。あと、LPにはカバー曲が二曲入っていて、その話もききたいですね。-

スガナミ : 一つは、ファラオ・サンダースの”Healing Song”。この曲は福ちゃんがやりたいって聴かせてくれて。ファラオのライブアルバムにしか入ってない曲なんだけど。オリジナルはもっと長尺でスピリチュアルというか、ピアノのフレーズがあって、打楽器がバーって鳴ってるみたいな感じで。

スガナミ : Thiiird Placeのアレンジはアフロジャズというか、

まさや : クラブジャズ的なアレンジだよね。

スガナミ : そうだね、フレーズもエレピにして。それでハラさんがホーンのメインリフを付けてくれてまとまっていった感じ。

まさや : うん、そこからアドリブを回していく展開だよね。

スガナミ : “Welcome to Thiiird Place”が出来る前は、ライブのオープニング曲はこれだったよね。だからソロも回して、メンバーを紹介していくじゃないけど、そういうアレンジに。

まさや : 結構重厚で聴き応えのある曲だよね。

スガナミ : 最後バレアリック的な展開にちょっとだけなって終わるところが、結構気に入ってる。

ユイマ : 色々やってますね。

まさや : これもいいよね、最近やってないね。

スガナミ : これもまたやりたいよね。

ユイマ : あとね、アルバムに入ってない新曲もね、素敵な曲がいっぱい出来てきてるから。

スガナミ : ねっ、ちょっとまた録音の計画を立てたいね。

-そしてカバーのもう一曲は、パット・メセニーの”Last train home”。自分の父親が葬式でこれを流せって言ってた笑”

ユイマ : やば、エモい。

まさや : ロマンチックじゃん。

スガナミ : Last train homeをなんでやろうって思ったかは、えっと、ある老舗のジャズのライブハウスのPAをやっている友だちがいて、その人がリヴハウスでDJをした時に、この曲をかけて、わざわざバーカウンターまで来て、これがジャズで一番良い曲って言ってて笑

一同 : 爆笑

スガナミ : えー!マジかと思って笑

日本有数のジャズ箱のメインオペレーターだから、これまでジャズのアーティストを沢山観てるわけ。パット・メセニーって自分の中ではジャズフュージョンの人ってイメージで、ジャズといえばって感じの括りの人ではなかったからビックリして。

ユイマ : 私もそういうイメージだった。

スガナミ : それが、ジャズで一番良い曲って言われたら。たしかにすごい曲だなとあらためて思って。

ユイマ : 私は(アニメ版)ジョジョ(の奇妙な冒険)のエンディングで聴いてて、すっげぇこの曲って思って。だいたいアニメとか曲飛ばすじゃん?でも毎回聴いてた。

スガナミ : 頭に残るよね、あのフレーズさ。

ユイマ : すごい世界観が、映画観てるような気持ちになるくらい広がるあの曲は。だから、すごい。

まさや : でもなんかね、ちょっと演歌とか歌謡曲っぽいんだよね、メロディラインはね。

ユイマ : 演歌とか歌謡曲に聴こえるのって、国が変わっても同じなんだよね。

まさや : うん、あとハードバップっぽいメロディだとも思うの。割となんかアートブレイキーとかそういう感じの。

スガナミ : たしかにエチオピアのジャズとかって日本の演歌に近い感じがしたり。

ユイマ : 昔のアフロの民謡とかもそうだよね。普遍だよね。

スガナミ : 世界共通で、琴線に触れる的なことではあるよね。Thiiird Placeの録音では、テーマはポンさんが吹いてくれていて、バリトンがね、荘厳な雰囲気がしてすごくいいんだよね。

ユイマ : いいよね。

スガナミ : ちょっと話は逸れたけど、それで、みんなにこの曲をやろうと相談して。曲の展開としては、Last train homeだから、テーマの後に、終電後の街の雰囲気だったり、路上生活者の人たちのことを描いたポエトリーを入れて、最後テーマに戻った時にウワーって大団円になる感じでやったらどうかなって、みんなで作った。

ユイマ : ポエトリーに入るとこで、コウタロウさんが列車のガタンゴトンの音をドラムフレーズで表現していて。

スガナミ : コウタロウくんって、そういうところがすごく良いよね。

ユイマ : 自由、あの人は。

まさや : (コウタロウから)これはやりたいんだっていう強い意志を感じて。ただそのドラムフレーズだと、繰り返す時にどうしてもズレていっちゃうから、ガタンゴトンのイメージを崩さないように八分の六拍子にして。

スガナミ : ポエトリーのところで、途中コードが変わるところが差し込まれたりするのもいいよね。

まさや : ポエトリーのセクションは、ウワモノのコードは変えずに、ベースラインだけで表情付けようかなって。

スガナミ : この曲をやり始めてから、ライブを観てくれた友人が、「Thiiird Placeってアメリカン・ユートピア(デヴィッド・バーンのブロードウェイショー、映画)みたいなバンドだね」って言ってくれて。

ユイマ : 嬉しい。

まさや : バンドとして最高の褒め言葉だね。

スガナミ : そういう部分でも、(バンドのイメージの一側面を)担っている曲かなと思う。

まさや : (バンドのライブではあるけど)ショーとしても観てもらえる振れ幅があるっていうかね。

スガナミ : うん、そういう風に考えて作る曲も今後あっていいのかなって思ったりした。

ユイマ : いいじゃん、作ろ!

スガナミ : 1週間くらい合宿とかしたら20曲くらい出来ると思うんだよね笑

ユイマ : 私はねー、リズム隊だけで1週間くらい練習したい!っていうか、みんなでむっちゃ演奏しまくるみたいなのもやりたい。(Thiiird Placeは)それぞれの生活があってのバンドではあるし、さっきの(非根性論的な)話とは逆をいくけど、私は、練習したい笑

一同 : 笑

スガナミ : 練習大事よね。

ユイマ : だから、(まさやの)話を聞いてて大人だなーって思ったの。このバンドはこのバンドの今の状態でやれることを楽しむって言ってて。私は(話を聞いてて)メラメラしてたから笑

一同 : 笑

まさや : うん、分かるよ、(ユイマの気持ちは)分かるんですよ。

スガナミ : 色々ね、(それぞれの生活や状況を)色々踏まえて、

まさや : 色々踏まえて(話したのもある)

ユイマ : だから大人だなーって笑

一同 : 笑

ユイマ : 練習だけじゃなくて、音楽性をさ、みんなで共有してるわけじゃないと思うんだよね実は。

まさや : そうそう。

スガナミ : なんとなくね、なんとなくうまくいっただけみたいな笑

ユイマ : 多分何人かが、この人はこういう音楽を聴いてるっていう共通認識があって、でも全員じゃないじゃん。それを単純にみんなで聴いてここが良いよねって言い合うとか。

スガナミ : 大事だよね。

ユイマ : そうそう、そういうのもやりたい。

スガナミ : なんか、どっかに合宿に行って、翌日にライブして帰ってくるみたいな、、

-合宿行きたがってる笑-

ユイマ : 子連れOKでね。

-夜はみんなでDJパーティーして、みんなのルーツを語り合うとか。-

スガナミ : それ最高!

まさや : 合宿大好き。(帰りの)バスで、自分の家の前を通り過ぎて、「あ〜俺の家ここなのに〜」ってやつやりたい笑

一同 : 笑

-わかる、わかる。-

スガナミ : バスの降り場が決まってるからね笑

-話は尽きないですが、こんなところですかね、今日は。-

スガナミ : そうだね。

ユイマ : 今日話して、色々理解が深まった、(話さずに)そのままにしてたこともあったから笑

色々分かった。

-ね、他のメンバーからも話を聞いてみたいところもありますね。-

ユイマ : うん、ほんとそうだね。

スガナミ : (話して)良かった。

-良かった。ありがとうございました-

一同 : ありがとうございました。

メンバー3人が並んでいる写真。

メンバー3人が並んでいる写真。

聞き手 : 仲原達彦

写真 : Tae Tomimoto

This is Thiiird Placeのアルバムジャケットデザイン。

This is Thiiird Placeのアルバムジャケットデザイン。

Thiiird Place | This is Thiiird Place

Release : 2024.05.22 

Format : LP record (33rpm)

Produced by Thiiird Place

recording & mixing engineer : 向 啓介

recording engineer : tadashi

mastering engineer : e-mura(Bim One Production)

recorded at 世田谷REC Studio, 下北沢LIVE HAUS

artwork & design: 北山雅和

photography : 仲原達彦

-Song list-

A1 Welcome to Thiiird Place

A2 Shoes

A3 ears

A4 それから、どうする

A5 healing song (Pharoah Sanders cover)

B1 a (hey)

B2 同じ街を見ている

B3 この場所

B4 Last train home (Pat Metheny cover)

 <販売店>

タワーレコード

HMV

ディスクユニオン

JETSET

セカンド・ロイヤル・レコーズ

CORNERSHOP

CONCRETE RIVER

北村電機レコード

倉吉円盤舎

音楽と雑貨とbounce

STEREO RECORDS

LiE RECORDS

二子玉川TSUTAYA

新町レコード

ネオウィング

ディスクビート

アビーロード浜松店

WE NOD RECORDS

Staghorn Records

Face Records

BLOW UP

Thiiird Place are

Vocal : スガナミユウ

Vocal : Enya yuima

Vocal : Andy Nagashima

Vocal, Guitar : Koichiro Toyoda

Guitar : tommgn 

Electronic Piano : しいね はるか

Bass : 井上真也 

Drums, Percussion : 松田耕太郎 

Percussion : 福田俊介

Percussion, Vocal : tadashi

Trumpet : 原 慎一

Alto Saxophone, Flute : ayumi 

Baritone Saxophone : 池田慎平

<Thiiird Place profile>

2021年12月結成。バンド名の由来は、

『家でも職場でも学校でもない、誰もが安心して集まれる場所』として名付けられた。音楽ファンを唸らせるアフロ・ソウル・ラテン・ジャズを基調とするサウンドと共に、万人に向けたポップネス・多幸感と真摯なメッセージを有するバンド。個性溢れるボーカル陣・演奏陣が入り乱れる13人編成。

Thiiird Placeは、13人の個性が集うひとつの街のようなバンド。2021年12月に行った初ライブでは、ミュージックマガジンのライブレポートにて「今の時代に必要なバンドの誕生」と評された。Sly & the Family Stone~SUPERORGANISMにも通じるボーダレス・エイジレスなアイデンティティと真摯なメッセージを持つバンドとして、まさに今の時代を生きる音楽として鳴らされている。

2022年5月より現メンバーとなり活動を本格化。2023年4月にリリースされた1st7inchレコード”Shoes”は東京のライブシーン、CLUBシーンにおいて大きな話題を呼んだ。

これまでの共演は、asuka ando、deadbeatpainters、ROMANTIC BABALÚ、矢舟テツロー、小西康陽、DEADKEBAB & PSYCHIC$、ROOTSTRIBE DUB SEPTET、オーサカ=モノレール、ASOUND、思い出野郎Aチーム、曽我部恵一、MUSIC FROM THE MARS、ロボ宙&VIDEOTAPEMUSIC、WACK WACK RHYTHM BAND、Ahh! Folly Jet、HEI TANAKA、GROUP、テニスコーツ、エマーソン北村、Yoshizawa, XTAL、SAI(Ms.Machine)、TAM TAM、The RATEL, De Lorians, Nozomi Nobody、true vacances、KONCOS、松田CHABE岳ニ、DJ Small Circle of Friends など。

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