『私が吉良よし子氏の街宣に立つ理由』
差別にNOを。そして、投票を。
梅雨を無視したかのように真夏日が続く異様な気候のなか、皆さん、体調は大丈夫でしょうか。
いまは参議院議員選挙の真っ只中。
何年ぶりだろう、7月12日土曜の夕刻、新宿での選挙応援のスピーチに立つことを決めた。
2020年から2023年にかけて、私は市民運動に多くの時間を費やした。
議員会館や各省庁を訪ね、各会派や官僚への要請を重ねる日々。
外では、デモやマーチ、毎週のスタンディング。
選挙期間には市民街宣、各会派への質問状の送付と公開。
そうした日々のなかで、出会いと別れを繰り返し、集団で何かに向かうことの難しさや、自分自身の限界を感じるようになり、いつしか疲れてしまった。そして、少しずつ、自分本来の生活に軸足を戻したいと思うようになった。
その後、私は音楽活動のシェア以外のSNS投稿をやめた。
この社会において、特権的立場にある自分を含めた男性が、SNS上で雄弁に語る姿に、自分の言葉に、吐き気を覚えるようになり、発信する意欲を失っていった。
その間にも、さまざまな選挙があり、そのたびに「応援スピーチをしてほしい」と声をかけてもらったが、私はずっとやんわりと断り続けていた。
「私のようなマジョリティの中年男性が語れることなどあるのか。社会に対して謝る言葉しか出てこない」
それが本音だった。
けれど、世の中は信じられないような方向に進んでいる。
パレスチナでの虐殺、アメリカではトランプがマイノリティへの排除政策を乱発している。
日本の今回の選挙でも、参政党や国民民主党などがあからさまな排外・差別扇動を行い、有権者の不安を煽り、その不安を敵意に変え、その敵意を力に変えていく。そんな政党や候補者の姿に、強い危機感を抱いた。
だから今回、街宣でのスピーチ依頼を受けることにした。
今回の選挙における投票の指針として、私は次の二つを決めていた。
• 選挙後に、現与党(自民・公明)に対抗する候補者・政党に投票する
• 差別と闘う候補者・政党に投票する
この二点である。
今回、日本共産党は「排外主義や差別、断固対決して押しとどめる」と明言し、選挙に臨んでいる。
こうした立場で選挙を行うことが、今の日本のムードのなかでいかに困難なことか、想像に難くない。
だから私は、東京選挙区の候補者・吉良よし子氏の街宣に立つことを決めた。
私はどこかの政党の党員でもサポーターでもない。選挙のたびに、候補者や政党を「選び直す」ことを自分のルールにしている。
これまでも、日本共産党に限らず、野党共闘の市民街宣に関わったり、立憲民主党の結党大会でスピーチをしたこともある。
うまく話せた試しはない。そのたびに「もう二度と立ちたくない」と思う。
「街宣のスピーチなんて、大げさなことじゃないだろ」と言われるかもしれないが、何人を前にしていても、人前で自分の考えを語るのは緊張するし、不安もあるし、勇気が要る。
でも、今回は思い直した。
うまく話せなくてもいい。何度言葉を噛んでも、止まってしまってもいい。
「差別にはNOだ」と、それだけを、伝えられたらいいと思っている。
私がメンバーの一人として、ライブハウスやクラブ、文化芸術分野への公的支援を求めて奔走していた時、吉良氏は何度も話を聞いてくれ、国会で質問に立ってくれた。
「ライブハウス」という言葉が、国会であれほど飛び交ったことは、かつてなかったのではないか。
吉良氏や、協力してくれたさまざまな議員たちのおかげで、国会での議論が実現し、文化庁の「ARTS for the future!(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)」の対象に、ライブハウスやクラブも含まれることになった。
「政治家なんてクソだ」というのは簡単だ。けれど、少なくとも私にとって、政治家という存在を見直すきっかけをくれた議員の一人であることは、間違いない。
そして今回の選挙、私は投票先をすでに決めている。
東京選挙区は、吉良よし子氏。
比例は、大椿ゆう子氏。
どうしても、国政の場に残っていてほしい二人。
また、国政において差別と真正面から対峙している政党は、日本共産党と社民党だけだと、私は考えている(立憲民主党やれいわ新選組には、それぞれの意味で「ブレ」を個人的には感る時がある)。
今回、吉良氏を選んだ理由は、6位以内での当選が必須だからだ。7位だと、3年後に日本共産党の山添拓参議院議員と改選が重なってしまう。山添氏も、国会にいてほしい議員の一人。普段は、当落線上にいる候補者に投票することが多いのだが、今回は迷わず吉良氏に投じることにした。
比例については迷った。
日本共産党もだが、都知事選に立候補してくれた蓮舫氏が立憲民主党の比例で出馬している。
しかし今回、社民党は議席を取らなければ政党要件を満たせず、国政政党の維持ができない。差別への対抗をはじめ、社民党が国政で果たすべき役割は、まだまだある。
だから今回は、大椿氏、そして社民党に比例票を託すことにした。
どうか、灯火を絶やさないように。
「選挙に行こう」ではなく、
差別にNOを。そして、投票を。
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