2025年東京都議会議員選挙、世田谷区の個人的所感
今回、誰に投票するべきか非常に迷っていて、この数日間、私の住む選挙区(世田谷区)の候補者18名について、SNSやYouTube、街頭演説の動画までしらみつぶしに観て回りました。
正直、自分の感覚と合わない候補者も多く、観るという行為自体が大変苦痛で、根気がいるものでした。投げ出したくもなりましたが、一応すべての候補者の情報を少しずつは得たので、簡単にまとめておきます(あくまで主観なので、皆さんは皆さんで調べていただき、鵜呑みにしないでください)。
※個人的には、里吉ゆみ氏と高岡じゅん子氏の二択で迷っていて、里吉氏が磐石なら高岡氏に入れたい。しかし、これまでの選挙で何度も「磐石なんてことはない」と思い知らされてきたので、いまも迷い続けています。

下北沢の選挙ポスター版
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里吉ゆみ
日本共産党の東京都議会議員で、4期目を目指す候補者。氏のウェブサイトのトップには「困っている人をほっとけない」とありますが、まさにその通りの方だと思います。
コロナ禍で、私が店長を務めるライブハウスが営業できなかったとき、「どうせ営業できないなら、ライブハウスのスペースを使ってフードバンクができないか」と思い、地域のフードバンクを見学していた時期がありました。その際に食品ロスへの関心が高まり、世田谷区の学校給食の廃棄量が気になって相談したことがあります。
そのとき、都議の里吉氏と区議の中里氏がすぐに廃棄量を調べてくれて、廃棄の流れや食材の管理について教えてくれました。
里吉氏はこれまで、学校給食の無償化など、住民に必要な福祉・教育環境の充実を多方面で訴えてきました。また、住民の意に沿わない都市計画などに反対する立場の議員です。私は、議会に必要な存在だと考えています。
現在、東京都議会において、自民・都民ファ・公明に次いで議席数を持つのが日本共産党です。都議19名のうち14名が女性であり(議席数の多い他会派よりも圧倒的に女性比率が高い)、そうした点からも、東京都議会の日本共産党はプログレッシブ(進歩的)な会派だと個人的には感じています。
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高岡じゅん子
東京都の地域政党「東京・生活者ネットワーク」の候補者で、世田谷区議を3期務めました。生活者ネットワークは、環境・福祉・平和・人権・ジェンダーなどを主なテーマに掲げ、議会でのパリテ実現を目指し、女性議員を増やす取り組みを続けている政党です。
個人的には、こうした地域政党が議席を増やすことで、区議会や都議会でより重要な役割を果たしてくれることに期待しています。
高岡氏はSNSの発信は多くありませんが、ホームページには区議時代から現在に至るまでの活動報告が丁寧に掲載されています(人柄も伝わる文章ですので、ぜひご覧ください)。
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風間ゆたか
立憲民主党の候補。東京都議会議員として2期目を目指しています。都議選に向けた決意表明の動画(自身のYouTube)では、小池都政を「結局は自民党を踏襲する政治」と批判し、「国の最も重要な資産は人であり、一人一人が大切にされ、どんな個性も認められる環境を作りたい」と語っていました。
SNSの活用が多く(TikTokや、Instagramには料理アカウントもある)、特にX(旧Twitter)では現政権や他政党への批判が多めです。理解できる内容もありますが、ヒヤッとする物言いもあり(自分もおじさんなので、多弁な男性を見ると自分のことのように恥ずかしくなる)、そのうちに決定的にガッカリするようなことを言い出すのでは、と少し警戒しています。
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じんむら浩平
下肢障害の当事者。これまで、移動格差解消のため、自らの会社で車の手動運転装置の企画・製造・販売を行ってきました。今回が初出馬。障害者支援や格差解消への取り組みが期待されます。れいわ新選組が掲げる「消費税廃止」を支持。
※意外に思われるかもしれませんが、個人的にはれいわ自体はあまり評価していません。山本太郎氏の個性が強すぎて、支援者ごと独善的な方向へ導いてしまいそうな怖さを常に感じています。
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三宅しげき
都議会自民党の幹事長経験者。自民党会派の政治資金パーティーでのノルマ超過分、計251万円(2019年・2022年分)を政治資金収支報告書に記載せず、いわゆる“中抜き”を行っていたことから、自民党非公認での出馬となっています。
三宅氏は7期にわたって都議を務め、「中抜き」は10年以上前から自民党都議の間で慣行的に行われていたとされています。
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小松ダイスケ
現・都議会自民党幹事長。東京都議会議員として4期目の方。氏のウェブサイトの重点政策のトップには「都民の税金を守る」とありましたが、政治資金パーティーにおけるノルマ超過分の“中抜き”を行っていた会派の幹事長がそれを掲げるのは、なんとも皮肉な印象です。
前回の都議選では、自民党は世田谷区で小松氏・三宅氏に加えてもう1名、計3名を擁立し、全員が当選しました。今回は、裏金問題で三宅氏が公認を外れたものの、実質的には自民党系の候補者が2名に絞られているため、三宅氏が再び当選する可能性も十分にあります。ゆえに、今回は特に、自民党に対して有権者の審判を下したいところです。
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望月まさのり
参政党党首・神谷宗幣氏の議員秘書。ポスターからは排外主義的なスタンスや、選択的夫婦別姓に反対していることが読み取れます。参政党の躍進が報道されていますが、私はこの党について、人々の不安を煽り、その感情を敵意に転化し、最終的にその敵意を自らの力とする――そうした最悪の政党だと個人的に感じています。
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とりうみあや
気象予報士。石丸伸二氏による地域政党「再生の道」から出馬。もともと政治家への興味があり、気候変動などの社会課題に対して、街全体を変えられるような首長になることを意識していたといいます。再生の道が掲げる「2期8年で辞職」「党議・党則なし」といった姿勢に共感し、出馬の選考を受けたことを、自身のYouTubeで語っていました。
「再生の道」の候補者は、自身のキャリアを雄弁に語る印象が強く、石丸氏が言う“ハイスペックな人材”という言葉が最低だと思う自分にとっては、それに集まってくる人々もまた、似たような感覚の持ち主なのかもしれない、と思ってしまいます。
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くれよしつぐ
公認会計士。「再生の道」から出馬。自身のYouTubeでは石丸氏を「他の追随を許さないオピニオンリーダー兼超一流のファシリテーター」と絶賛しています。しかし、個人的には、石丸氏が本当にこの党から出馬する42名と今後ともに歩む意思があるのか、疑問に感じています。「ぶち上げるだけぶち上げて、すぐ次に行ってしまう」という印象が強く、最終的に“そして誰もいなくなった”状態にならなければいいのですが。
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なかしま里奈
国民民主党公認候補。演説の動画をいくつか視聴しましたが、「手取りを増やす」といった党の打ち出している政策を主に語っており、また育児をしながら働く自身の境遇についても話されていました。ただ、この方自身が都政や世田谷区をどうしたいのかという具体像が見えてこず、紹介が難しい印象です。玉木代表と党のスピーカーというイメージが強いです。
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坂本まさし
国民民主党公認候補。コンサル会社経営者であり、青山学院大学大学院の教員。今回が初出馬ということもあり、演説にはまだ不慣れな印象があります。この方も「手取りを増やす」という、党の政策を強調していました。
演説のなかで、「藁の中の七面鳥」(フォークダンスで知られるオクラホマミキサーで使われている民謡)の替え歌を用いた、自身の紹介ソング「走れ、坂本まさし!」を披露しており、正直どう受け止めればよいのか困惑する謎の演出を街宣にて行なっています。
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たかく則男
世田谷区議を4期務め、都議選へ挑戦。演説やSNSでの発信を見ていると、区議時代も地道に仕事をしてきた印象があります(本人もその実績をアピールしています)。
個人的な経験から言うと、国政・都政・区政、それぞれにおいて市民が何か相談したとき、一番動いてくれるのは共産党と公明党だった気がします(この2つの政党は犬猿の仲ですが)。
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福島りえこ
都民ファーストの会候補者。当選すれば東京都議会議員として3期目になります。都ファの政策・実績・都政報告などを見ても、体制側の政治家として非常に熱心に活動している印象です。一方で、選挙期間外も毎日続けている街頭活動など、地道な積み重ねもあり、将来的には都議に留まらない政治家としての未来を見据えていそうな方です。
氏はもともと東芝の製品開発者で、組織内におけるジェンダー不均衡や多様性の問題についても、前回の選挙時のインタビューで語っていました。同時に、小池都知事を議会や東京における女性活躍の旗印として評価していた点も、印象に残っています。。
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高野たかひろ
元TBSアナウンサーで、都議選に挑戦中の方。YouTubeのインタビューでは、「10年後の日本がどうなっていてほしいか?」という問いに対して「共生社会」と答えていました。しかし、そう語る方が、なぜ小池都知事を支える都民ファーストの会から出馬するのか、個人的には疑問です (東京都の開発事業推進など、都民ファーストの政策にはネオリベラル色が強いと感じているためです)。
※なお、インタビューでは、前職アナウンサーの都ファ都議・龍円あいり氏との出会いが、都ファへの参加のきっかけだったと語っていました。
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河村建一
元文部科学大臣・河村建夫氏(麻生内閣官房長官も歴任)の息子で、父の秘書経験もあり。2021年衆議院選、2022年参議院選では自民党から出馬するもいずれも落選。2023年には自民党を離党し、日本維新の会の衆院・東京6区支部長となりましたが、昨年末に再任されず、次期衆院選出馬が遠のいたことから維新を離党。
今回は無所属で都議選に立候補しています。政治の世界を漂流し続けながらも、それでも政治家になりたいという強い執念を感じる方です。
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あべ力也
減税日本(河村たかし氏が代表)からの出馬。世田谷区議時代には、他議員への侮辱発言により懲罰宣告を受けたり、選挙期間中に運動員の女性への強制わいせつ致傷疑惑で書類送検・民事提訴されたりと、多くの問題を抱えてきました。その結果、全会一致で議員辞職勧告決議案が可決されるという経歴の持ち主です。
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平井しげる
「自治労と自治労連から国民を守る党」からの出馬。通称名「田中はじめ」での登録を試みたものの、認められず本名での立候補となりました。ポスターには党代表・浜田聡氏の写真しか掲載されておらず、街宣活動の情報も見つけることができませんでした(6月16日時点)。
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クガイ
映像制作の仕事をされている方で、「街宣を行わない」ことをポリシーとし、個人演説会の開催を予定していたようです。しかし、その演説会は参加者が1人も現れなかったため、中止となったとのこと(6月15日時点)。
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